建築ご用心      AIU Planners 

財産建築 5箇条

加齢とともに財産価値を上げる建物づくり

5箇条
1 まず構造を完璧にせよ
2 不変部分に注意を払え
3 外壁耐久性を恒久にせよ
4 空間のオーソドックス
5 加齢価値材の採用




まず構造を完璧に
 経年変化の少ない材料を用いて十分な耐力の構造をつくりましょう。
構造は体を支える骨格です。骨格が弱くては、いくら美しい容姿や衣裳をまとっても薄命です。建物でいうと、減価償却が早くてはいい価値評価は得られませんね。
耐久性の順を上げてみましょう。
鉄筋コンクリート・
組積造(石・レンガ)
厚肉鉄骨造 木 造
コンクリートブロック

軽量鉄骨造
プレハブ
ユニット構造
ツーバイフォーなど
といったところでしょうか。
  • コンクリートは十分の鉄筋かぶり厚があって、断面が大きい建造物であること。
  • 組積造は花崗岩やレンガといった風化しにくいものであること。
    大谷石や大理石は、室内ならよいが、外部雨掛かりでは短命。地震国では低層建築に限るのがよい。
  • 鉄骨造は肉厚の厚いもの。錆びても十分の断面が残るものであること。肉厚の薄い軽量鉄骨造は、木造と同列か、劣ることもある。
  • 木造はその造りいかんによる。社寺建築の太いヒノキ材でほとんど柱だけの構造は腐食がなく、樹齢だけ持つという。1000年材を用いれば1000年持たせることができる。法隆寺はそろそろ1400年になろうとする。
     木造の細い材(10センチ角ていど)を壁の中に埋めてしまうような構造では、下位になるというわけだ。
 建造物は時間をかけて造るものほど長持ちします。当然、プレハブや工場生産品、ツーバイフォーなどは、その材(釘金物)の寿命しかありません。これらのものは別な目的を求めるのがよいでしょう。たとえば、短年間に利を上げる建物としてです。 以上まとめますと、

・コンクリート⇒鉄⇒木 の順
・コンクリートは厚く
・鉄骨は厚肉
・木は太いヒノキ材を用いよ。

不変部分に注意を払え
 不変部分とは「外すことの出来ない構造部分」・「後の改造が極めて困難な部分」を言います。この部分については決して後悔しない考慮をすませておくことが重要です。短命の部品や部分を
更新するのに不都合のない構造を考えます。短命のものとは例えば埋設する下水管・給水管や冷暖房配管や設備機器などがあります。例えば配管の交換に十分のスペースを確保しておく事は短命の部品でも建築の再長寿命に一致させることになるのです。
 寺院建築の、傷みやすい垂木の先を修理するのに、舛・肘木を壊すことなく奥から、長めに作っておいた垂木を引っ張り出す先人の驚くべき知恵にも学ぶべきものがあります。後からの普請や応急処置によって建築が異物によって損なうことがなく、尊厳を保つことができる。そういったように、
不変部分は深い考慮によって完成しておくべきです。
 また、
不変部分は最少限にしておきます。それだけ、本質に傷がつかず時代の生活様式に対応し易いのです。物の経年による風化や耐力の低下だけでなく、文化や文明の進化に対しても耐久性のあることが求められるからです。

外壁耐久性を恒久にせよ
--不燃・不蝕の考慮
 苛酷な自然条件下におかれる物ほど早く朽ちます。屋内のものは殆ど朽ちることがありません。この屋内を護る外皮つまり外壁材は、この自然の苛酷に耐えることで建築の寿命を守るのだと言うことができます。殊に、密着した都市建築では、隣家との空きがなくメンテナンスすることさえ出来ないことがあります。メンテナンスを全く必要としない耐久性外壁材と工法で仕上げておくことは、都市建築では特に重要なことです。

空間のオーソドックス

 1や2と多少ダブるところがありますが・・・
@
可動部を別けよ
   (生活パターンの変更は住み替え可動部で行え)
A便利さや細部にこだわるな
 今求める生活スタイルは可動部分の模様替えによって満たせ。
本体に傷をつけるな。と、いうわけです。その為に固定部分(不変部分)は必要最小限にします。できる限り大空間にしておきます。人間、どうしても便利さを求めます。けれど、その余り、建築のよさを損なうようでは残念です。いつも調和を見ながら生活パターンの対応をしていきましょう。また、細部ばかりにこだわらぬ方がよく、一部の好みで他とのバランスを壊すようではよくありません。便利や趣味を満たしたいと思うなら、建物と離した什器・家具・撤去可能な間仕切り等によって求めます。

加齢価値の採用

@
材料の加齢価値
  銅・石・太いヒノキ材・大型木材・漆喰・焼き物・煉瓦など。
  流行品や間に合わせの材、仮設的材を混入させない。
A
空間の文化性
  
洗練された空間・堂々とした空間の構え
  「時」による
風化のない思想もしくは哲学
Bコスト配分
   今風の建築 ;



構造 〜 装飾
見た目・流行りを大事にするため、構造部を安く、仕上げや装飾にお金をかける傾向があります。初めに「まあ、ステキ」とか何とかいう言葉が声に出ましょうが、しばらくするうちに次第に疲れますね。そのうち流行もすたれ、躯体も朽ち始めると、いずれ手直しするのもいやになりましょう。

   
財産建築  ;

構造 〜 装飾
構造部・見え隠れ部分にしっかり予算をかけ装飾へかけて次第にコストを薄くします。初めの反応は、気持ちが落ち着いて大きな声は出ないかも知れませんが、じわじわと良さが分かって参りましょう。最後に、生気が湧いてくる。・・と、そうなれば理想です。構造はしっかりしていますから、リフレッシュすると新築同様です。

 このようなものが加齢価値建築であると私どもは提唱しています。

備考)財産建築については、建物の鑑定評価にかかる問題ですから、不動産鑑定士の先生の意見を最初にお聞きしておくことも有効かもしれません。私の知人、渡辺一行さんをご紹介しておきます。クリックされると彼のホームページへとべます。

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