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「宮殿建築には檜を使え」(日本書記);
民家は人が住むものですし、実用的な建物ですな。伽藍は建物そのものが礼拝の対象としての建物ですわ。杉と楠(くすのき)は船を造るように、槙(まき)は死体を納める棺にせよということも書いてありますな。檜は品がよくて、香りが高くて、長持ちする。
この檜、ただ素直で柔らかく、使いやすいというだけやおまへんで。新しい材料のときは釘を打つにしても軽く打てますが、時間がたったら木が締まって抜けなくなりますな。五十年もたったらもう抜けませんわ。下手にやったら釘の頭がぴ〜んと飛んでしまいますな。檜はそれほど強い木でもありますのや。(西)P.15
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(西);
法隆寺大工棟梁
西岡常一
(故);
故事・ことわざ辞典. 小学館 |