・・・・・・・今月のことわざ
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床組の各材は互いに直交する。直交するたびに次第に水平精度を上げていくことができる。
縁の下ではないが、蛙股(かえるまた)という材だけは桁に平行に置く。
その形状は左の蛙くんが跳ねた瞬間に見える足形をしている。社寺建築に多く用い、民家には少ない。
(シ);集英社
ことわざ辞典
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広き家は鞘(さや)鳴り;
身分不相応に大きく広い家は刀身に比して大きい刀が鞘鳴りをするようなもので、かえって具合が悪いものだ。大きな家というのは実用にならず、かえってむだが多いことのたとえ。[俳毛吹草-二] |
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明るい家には金溜まらず
陽光がいっぱい入っている明るい家には金は溜まらないという意味。そのために間口をせまくしたり、格子窓や格子を多くして光を防ぎ、暗い建て方をしていた。今ではこの逆で、暗い店先では客が入らない。極力照明を明るくして客をひこうとしている。明るい家を派手な家庭とすれば、やがて貧乏におそわれる、という意味になる。質素倹約の生活でなければ金はたまらない。 |
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家売れば釘の価
大金をかけた家も売りに出すと、釘にかかった費用くらいの安値になってしまうこと。[俳・毛吹草] =家売らば縄の価
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家の高いより床(ゆか)の高いがよい
広く家柄がよいとか先祖の身分が高いとかいうことよりも今、金持ちのほうがいい。家柄の高い斜陽族よりは身分は低くても生活の楽なほうがよい。 |
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縁の下の力持ち;
辞典には「人の見えないところ知らないところで、いたずらに努力すること」とある。
なんと!「無駄な努力」という意味だったのだ。
人知れず役に立っている、という賞賛のつもりで使った記憶がある。失礼なことを言ってしまったのか?!
縁はおよそ水に強い檜やヒバの縁甲板張になっていて、昔は毎朝ぞうきん掛けでピカピカに磨いたものだ。今は工業生産品オンパレード。塗装もかかっていて、時たま掃除機かけるだけ。なんと楽になったこと!
そのピカピカを支えるのが根太(ねだ)という木材、それを支えるのが大引(おおびき)といい、大引は土台や束に載っている。これらを床組みというが、それが腐ったり浮いたりすると床がきしむ。もちろん、縁の下は力持ちがいいし、役に立っている。
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蝸牛も一家の主(あるじ);
「カタツムリは弱い動物だが、しょっている貝の主人で、貝は小さくてもカタツムリにとっては楽しいわが家である。」(シ)
小さな住宅でも、精いっぱい楽しく造るほうがよい。わが家はスーパーで安物をあさるのと同じ気持で建てるものじゃない。とてつもなく大きな買い物なのだ。うんと小さく、わくわくしながら大事に建てること!
遠慮しなくていいから建築家に頼みなさい。
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口たたきの仕事下手;
口ばかり達者で仕事はさっぱりなことをいう。多弁な者は実行することが少ない。最も高い音を立てるのは最も悪い車である。(シ)
物事を真剣に考えていると誰でも無口になるものだ。ぺらぺらとお喋りをしていて素晴らしい構想(仕事)が湧くはずがない。設計をプロに頼んで、相手が無口になったら、真剣に考えてるな!と察してあまり邪魔をしないのがよい。もっとも、建築家にも、その場はにこにこ、事務所にもどって頭を抱えるお調子者は居る。
工務店でいうと、愛想よく聞いてくれる営業マンがどんなにいい人だな!と思っても、かといって、いい建築を造ってくれることはないと考える方がまず正しい。 何も考えないからこそ、何でもホイホイ受け入れる。破れたチリトリにパッパッてなものだ。(口応えなどしていたらそれだけ入金が延びる!)ハタ目にはまことに感じがよい。いつの間にか、失敗は全〜んぶ「お客様の我がままのせい」。あとの祭りだ。
似たものに
- 口たたきの手足らず
- 口自慢の仕事下手
- 未熟の芸誇り
- 口では大阪の城も立つ
などがある。
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九尺二間に戸が一枚
くしゃくにけんに戸がいちまい
間口九尺奥行き二間の家に、入り口として戸が一枚だけあるというような狭く、粗末な貧家の形容。 |
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