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塔は下から組め;
仕事をするときには、土台をしっかり固めてかかれということ。立派な塔は、立派な土台の上にのみ建つ。学問、技芸もまた同じ。(シ)
その通り。建築的にも、真っ当で正しい。物造りの基礎は心である。人の心も正しくしていないと真っ直ぐな作品はできない。一文字(いちもんじ)の瓦を葺くには、基礎を精密に真っ直ぐに造っておかなくてはできない。なお、大工は材木を刻むと、番号を下の材から、いの一、ろのニ、はの一、というように振っていく。一等、最初のことを「いのいちばん」と云うのはここからきたのだろうか。
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(シ);集英社
ことわざ辞典
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豆腐に鎹(かすがい);
意見などいくらしても少しのてごたえもなく、効き目のないこと。
かすがいは木材などの合わせ目をつなぎとめるために打ち込む両端のまがった大釘で、やわらかい豆腐にはいくらかすがいを打っても効かない。(シ)
このごろカンナをひいている大工を見かけることが少なくなった。鑿(のみ)音さえあまり聞かない。工場で加工してきたものを現場では丸鋸で切るだけとひどい。手早く上げてお金にする、というのが基本らしい。こんなことだから、ちょっと眼をそらしていると豆腐に鎹を打つようなことをしている。上手な大工は、たしかにカンナも巧い。
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下手な大工でのみつぶし;
「大酒を飲んで財産をなくしてしまうことのしゃれ」(シ)
下手な大工はノミをまっすぐに打てず、こじるからすぐ刃をつぶす。飲みつぶれるまで飲んで財産をつぶすのと鑿の刃をつぶすのを掛けた軽妙な洒落だ。せめて傾いたり潰れたりしない家を造ってね。
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マスコミの、巧いを上手い(じょうずい?)と書く無粋かな;
このところ、「巧い」、「下手」が連発したので、この際言いたかったことを言っちまおう。
上手い!?・・週刊誌ばかりかTVのテロップでさえ時々こんな字を使っている(最近の辞書には載っけてるのもあるが)。「下手」はへたと読み、「上手」はじょうずと読みたい。下手の対語を上手(共に名詞)といい、「まずい」の対語を「うまい」(共に形容詞)と言ったらどうだ!
形容詞の方にはちゃんと「拙い」「巧い」という字が折角あるんだ。詳しくはここをクリック。
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